■目次

1 なぜ、いま先読みなのか?
2 自分だけでなく相手の時間価値も意識する
3 先読み力を鍛えるタイムマネジメント
4 3週間先のタイムマネジメント
5 リーダーに求められる力




5.リーダーに求められる力

■リーダーにこそ求められるプロアクティブ

 先読み力をもち、プロアクティブに物事を進められる人がリーダーになれば、チームメンバーに大きな影響を与えます。
 かりに、あなたが10人のチームリーダーだとしましょう。あなたは自分の歩みだけではなく、あなたの影響を受けるメンバーの歩みのことまで考える必要があります。
 プロアクティブな働き方とリアクティブな働き方では歩みに2歩の差がでます。チームメンバー全員の歩みに2歩差がつくとしたら、合計で20歩分の差がついてしまうことになります。そして、1日20歩、10日で200歩の差が生まれるのです。
 メンバーのためにもチームのためにも、リーダーはチームで最もプロアクティブでなくてはなりません。そうすることで、メンバーの歩みをきっちりまとめ、チームの目的やゴールを達成することができます。


■リーダーに必要な3つのこころ

 さらに、リーダーであるならば、どんな心構えでメンバーと接して仕事をするかが大切です。そして、メンバーがあなたと一緒に仕事をしたいと思えるか、が最も重要なことです。
 メンバーの心をつかみ、メンバーをあなたと同じ方向に進めることができれば、どんな困難な状況に出くわしても、必ず乗り越えることができるでしょう。
 そこでリーダーとして必要な3つのこころ(心構え)に関してお話します。3つの「スキル」と書かず、「こころ」と書いていることには理由があります。
 これらの3つのこころ――リードするこころ、援助するこころ、感謝するこころ――は、必ずしも経験により得られるものではないからです。リーダーをはじめて経験する人でも持っていたり、リーダーを10年以上やっている人が持っていないこともあるのです。

◇リードするこころ

 一歩先に行動するプロアクティブな人と一歩後に行動するリアクティブな人では二歩の差が出て、10名のリーダーなら2歩×10人で200歩の差が出る可能性がある、というお話をしました。
 では一歩先に行動するすればよいのかというとそれだけではありません。10名の踏み出す1歩が同じ方向ではなく、バラバラに踏み出したならそれは20歩にはなりません。5歩かもしれません。

 同じ方向に進むことができれば「1+1=2」になりますが、違う方向に進むと「1+1<2」になってしまいます。
一方で本当にモチベーション高くお互いに刺激しあって切磋琢磨しているチームでは「1+1>2」になって、これこそがリーダーが目指すチームの姿です。




◇援助するこころ

・正しい援助のいろは

 メンバーの成長をサポートするために、リーダーとしてできることは、我慢できるまでメンバーに任せて見守り応援し、最後はゴミを拾って歩くことです。


◇感謝するこころ

・0.5歩でも同じ方向に前進してくれてありがとう

 チームで仕事をしていて何人かが集まれば、やはりできる人とできない人が出てきます。
例えば、メンバーの後手君が期待するだけの成果を出していないとき、他のメンバーからもだんだんと敬遠されがちになり、チームのムードも悪くなる、ということが残念ながらあります。
 チームのムードが悪くなると、チームでベクトルをそろえて目標に到達する妨げになる可能性があるためリーダーのあなたとしては避けたいところです。
 後手君は、飲み込みは悪くても、素直に一生懸命やる人だとしたら、あなたはリーダーとして、後手君を育てることも会社から期待されているかも知れません。
 ここでも後手君の交代や能力などの相手に原因を求めるのではなく、リーダーがあなただったらどうするか、と考えることが大切です。

 リーダーが実施するべき仕事はベクトルをそろえて、1+1>=2にすることです。後手君がいるチームでは、マイナスの影響が出ています。つまり1+1<2になっています。かりに後手君の働きが普通の人の半分の0.5だとすると、後手君が足を引っ張っているチーム状態は、1−0.5=0.5ということになります。
これはチームにマイナスの影響を与えていて、他の人の成果も奪い取っていることになります。これではチームにとってよいはずがありません。
一方で、0.5の能力かもしれませんが、素直でがんばる後手君のいい部分を引き出しリーダーのあなたがチームにうまく溶け込ませ、同じ方向に進ませることができれば、1+0.5=1.5になります。
 つまり、後手君に対して0.5歩でも同じ方向に前進してくれてありがとう、と感謝するこころがあるかどうかです。
 もし「後手君は0.5歩しか進めない。迷惑ばかりかけている。なんてやつだ」とメンバーが思っていたとしてもリーダーのあなたが「後手君は0.5歩もちゃんと正しい方向に進んでくれている。ありがとう」という態度で接していると、日々の会話の中にも自然に後手君の悪い部分でなくよい部分の話が出てくるはずです。他のメンバーも後手君の悪い部分ではなく、よい部分を見るようになります。少なくとも悪くは言わなくなり、後手君に対する他のメンバーの接し方も変わってきます。
 リーダーのあなたが後手君を含めたチームメンバーのよい部分を常に引き出してあげましょう。チームのムードがよくなり一体感が増し、チームとして同じ方向に進むことができるようになります。そして、チームの足を引っ張っていた後手君が0.5かもしれませんが、チームの前進に貢献することになります。よい部分を発見され褒められた後手君の成長にも繋がり、0.5歩が0.7歩、1.0歩になるかもしれません。
後手君の能力不足を嘆くのでなく、0.5歩もちゃんと正しい方向に進んでくれたと感謝することでチームとして一体感が増すこと、そして、後手君が0.1歩でも成長できることが、リーダーのあなたが実施しなくてはならない感謝することです。

 リーダーに必要なこころというのは「永遠のテーマ」ですが、最後は人、あなたです。


 先読み力で起こりえる出来事(問題)を推測する。1歩前に行動をすることで、目標を実現する。3つのこころでメンバーをリードし、援助し、感謝する。
その結果、あなたやあなたのチームメンバーが、ビジネスでの成功や成長、人生の充実につながることをお祈りします。

 最後までお読みいただきありがとうございました。
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日本中に「プロアクティブ」という言葉が広がることを心から願って

村中 剛志


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