■目次

1 なぜ、いま先読みなのか?
2 自分だけでなく相手の時間価値も意識する
3 先読み力を鍛えるタイムマネジメント
4 3週間先のタイムマネジメント
5 リーダーに求められる力


2.自分だけでなく相手の時間価値も意識する

 会社から見て、あなたは1時間でいくらくらいの価値を出す必要があるか、考えたてみたことはありますか?

 あなたの年収が仮に600万円としましょう。会社は給与のほかにも保険や年金、福利厚生費などを支出しています。厚生労働省の調べでは、年収の約20%となっています。つまり、あなたを雇うのに、会社は720万円の費用をかけているということです。
 さらに、会社を維持するには儲けが必要です。
 付加価値(儲けを含む)と人件費の関係は労働分配率で示され、「労働分配率=人件費÷付加価値」という式で表されます。内閣府の調査によると、最新の分配率は平均65%なので、「65%=720万円÷付加価値」になり、あなたは1100万円の付加価値を稼ぎ出さなければならない、ということになります。
 すなわち、会社にとって年収600万円のあなたが1100万円稼いでくれてトントン、優秀と評価されるためには、1500万円くらいは稼いでおきたいところです。

 次に、時給で考えてみましょう。厚生労働省の調査によると、日本人の平均労働時間は年間2000時間弱。1500万円を時給換算すると、およそ7500円。つまり、あなたが優秀と認められるためには、1時間に7500円の価値を出す必要があります。




 では、あなたと同じくらいの年収の社員が10人集まって1時間のミーティングを開くとしたら、コストはいくらになるでしょう?

 1人の時給が7500円ですから、10人で7・5万円です。さらに、都内で会議室を借りるとすると、1時間で1万円くらい。プロジェクター、ホワイトボード、インターネット回線など、オプションをつけるとそれだけ高くなります。ざっくり計算して、オプション代は1万5000円としましょう。
 合計すると、7・5万円+1万円+1万5000円=10万円。つまり、1時間のミーティングで最低でも10万円の価値を出す必要があるわけです。




 このように時給で計算するのは短絡的だと考える人もいるでしょう。しかし、ここで考えていただきたいのは、あなたは期待されている価値に見合うだけの仕事をしているか? 相手の時間価値も意識しているか? ということです。
 時間価値を基準に考えると、問題解決にあたってリアクティブな行動で、余計なコストを払うマイナスの大きさに気づきます。逆にプロアクティブに対処すれば、目に見えないコストを削減することもできるのです。これは価値を提供したのと同じことです。

 時間価値を高めるためには、自分がどの仕事に何時間費やしたのか、その時間の使い方に無駄がなかったのか、というように自分の時間をマネジメントすること、すなわちタイムマネジメントが重要です。そしてタイムマネジメントに必要なスキルが先読み力なのです。それでは先読み力を鍛えるための「プロアクティブ・タイムマネジメント」を見ていきましょう。


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